京都大学の茶本健司特定教授と本庶佑特別教授の研究チームは、この問題を解決するカギを見つけました。彼らはマウスを使った実験で、ビタミンEを含む2種類の薬がオプジーボのような免疫治療薬の効果を高めることを突き止めたのです。この研究成果は国際的な科学誌にも発表されました。もしこれが臨床で使えるようになれば、より多くの患者さんが免疫治療で救われるかもしれません。

活性アルデヒドは、免疫細胞の疲労を解決する鍵で、メカニズムを解明しました。
研究チームによると、免疫細胞ががん組織に入ると疲れてしまうのは、「活性アルデヒド」という有害物質が細胞内にたまることが原因だそうです。これまで免疫細胞の疲弊については現象として捉えられていましたが、今回、活性アルデヒドがたまることで疲弊するという仕組みが明らかになったことで、具体的な対策が考えられるようになりました。この2種類の薬は、活性アルデヒドがたまるのを抑えたり、その働きを邪魔したりすることで、疲弊した免疫細胞を元気にして、再びがん細胞を攻撃できるようにするのです。

共同薬剤での効果が確認され、医療応用へ繋がる基盤が築かれました。
実際に、ヒトの大腸がん細胞を移植したマウスに、オプジーボと同じ種類の薬と、ビタミンEを含む候補薬のどちらかを一緒に投与したところ、がん細胞が小さくなる結果が得られました。これは、活性アルデヒドを標的にすることと免疫治療を組み合わせる方法が有効であることを示しています。また、ビタミンEなどの薬は安全性が確認されているため、今後の臨床研究も進めやすいでしょう。東京理科大学の吉村昭彦教授も、この研究結果は免疫治療の課題を解決する重要な発見だと評価しており、臨床での効果に期待を寄せています。
5年以内に臨床応用を目指し、それが治療を大きく変えるでしょう。
研究チームは、今後5年以内に様々な種類のがんでこの治療法が使えるか、また安全かどうかの研究を進め、患者さんに届けたいと考えています。この研究が実用化されれば、現在ごく一部の患者さんにしか効果がない免疫治療が、より多くの人に広がることになります。また、単独の薬を使う治療から、根本的な仕組みに働きかけながら免疫力を高める治療へと進化するでしょう。ちなみに、本庶佑教授はオプジーボに関する研究で2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞されていますが、今回の新しい発見は、その免疫チェックポイント阻害理論の臨床での価値をさらに高めるものとなるかもしれません。












